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【問題】
【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)
二つの導体小球がそれぞれ電荷を帯びており,真空中で十分な距離を隔てて保持されている。ここで,真空の空間を,比誘電率\( \ 2 \ \)の絶縁体の液体で満たしたとき,小球の間に作用する静電力に関する記述として,正しいものを次の(1)~(5)うちから一つ選べ。
(1) 液体で満たすことで静電力の向きも大きさも変わらない。
(2) 液体で満たすことで静電力の向きは変わらず,大きさは\( \ 2 \ \)倍になる。
(3) 液体で満たすことで静電力の向きは変わらず,大きさは\( \ \displaystyle \frac {1}{2} \ \)倍になる。
(4) 液体で満たすことで静電力の向きは変わらず,大きさは\( \ \displaystyle \frac {1}{4} \ \)倍になる。
(5) 液体で満たすことで静電力の向きは逆になり,大きさは変わらない。
【ワンポイント解説】
クーロンの法則に関する問題です。
クーロンの法則は真空で適用する法則ですが,真空の誘電率を置き換えれば,誘電体中の力を求めることが可能となります。
1.クーロンの法則
真空中で距離\( \ r \ \)離れた二つの電荷\( \ Q_{\mathrm {A}} \ \),\( \ Q_{\mathrm {B}} \ \)に加わる力\( \ F \ \)は,真空の誘電率を\( \ \varepsilon _{0} \ \)とすると,
\[
\begin{eqnarray}
F &=&\frac {Q_{\mathrm {A}}Q_{\mathrm {B}}}{4\pi \varepsilon _{0}r^{2}} \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
となります。
【解答】
解答:(3)
真空中で距離\( \ r \ \)離れた二つの電荷\( \ Q_{\mathrm {A}} \ \),\( \ Q_{\mathrm {B}} \ \)に加わる力\( \ F_{1} \ \)は,真空の誘電率を\( \ \varepsilon _{0} \ \)とすると,ワンポイント解説「1.クーロンの法則」の通り,
\[
\begin{eqnarray}
F_{1} &=&\frac {Q_{\mathrm {A}}Q_{\mathrm {B}}}{4\pi \varepsilon _{0}r^{2}} \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
となる。真空の空間を,比誘電率\( \ 2 \ \)の絶縁体の液体で満たしたとき,誘電率は\( \ 2\varepsilon _{0} \ \)となるので,二つの電荷\( \ Q_{\mathrm {A}} \ \),\( \ Q_{\mathrm {B}} \ \)に加わる力\( \ F_{2} \ \)は,
\[
\begin{eqnarray}
F_{2} &=&\frac {Q_{\mathrm {A}}Q_{\mathrm {B}}}{4\pi \cdot 2\varepsilon _{0}r^{2}} \\[ 5pt ]
&=&\frac {Q_{\mathrm {A}}Q_{\mathrm {B}}}{8\pi \varepsilon _{0}r^{2}} \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
となる。したがって,その比は,
\[
\begin{eqnarray}
\frac {F_{2}}{F_{1}} &=&\frac {\displaystyle \frac {Q_{\mathrm {A}}Q_{\mathrm {B}}}{8\pi \varepsilon _{0}r^{2}}}{\displaystyle \frac {Q_{\mathrm {A}}Q_{\mathrm {B}}}{4\pi \varepsilon _{0}r^{2}}} \\[ 5pt ]
&=&\frac {1}{2} \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
と求められ,静電力の向きは変わらず,大きさは\( \ \displaystyle \frac {1}{2} \ \)倍となる。